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なぜ、いまHACCPが必要なの?

 

 

いま、食品業界を取りまく状況が大きく変化しています。消費者の食品に対する安全・衛生への要求がどんどん高まってきているのです。
その背景には、まず、95年のPL(製造物責任)法の施行があります。この法律により、消責者が製品によって受けた積雲を訴えやすくなったのです。
次に、病原性大腸菌0−157題動や、サルモネラ菌による食中毒の多発などがあります。これら“食の事故”から身を守るために、食品加工業者な
どに対して安全面や品質面での保証を強く求めはじめているのです。これは世界的な傾向で、アメリカやEUなどでは、すでに“食の衛生管理システ=HACCP”
の導入が食品業界に義務づけられているほどです。わが国でも、96年に厚生省が食品衛生法を改正、HACCPの概念を取り入れた『総合衛生哲理製造過程』
という制度をつくりました。98年にはHACCPの導入を支援する法律もスタートさせるなど、新しい“食の衛生哲理システム”として積極的に推進しています。
このように、食品に対する安全・衛生への要求が国際的な規模で高まってきている現代、HACCPの導入によって品質の良いものを生産しお届けすることは、
「品質保証の競争に勝つ」という意味でも今後さらに重要なポイントとなってくることでしょう。
HACCP導入の背景

 

HACCPってなあに?@  〜その意味〜

 

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HACCPとは、「Hazard Analysis Critical Control Point」の頭文字をとったものです。
“ハセップと発音し、「危害分析・重要管理点」と訳します。HACCPを理解するために、ひとまず、「HA」と「CCP」に分けて説明しましょう。
まず、HAHazard Analysis=危害分析)とは、食品を製造する遇程で発生する可能性のある危害を見つけだすことです。たとえば病原菌や

ウイルスなど“毒素の特定”がこれにあたります。次に、CCPCritical Control Point=重要哲理点)とは、HAで見つけだ抑た危害を防ために欠かせない

チェックポイントのことです。たとえば高邁で殺菌する工程が欠かせない場合には、湿度設定や監視方活なども含めたその工程が「CCP=重要管理点」
になります。つまり、製造工程全体の流れの中で重要な管理ポイントを特定し、そこを重点的に管理する一連のシステム。
それがHACCPというわけです。従来の品質検査は、完成品からの抜き取り検査が主流でしたが、この方活では抜き出したサンフルにたまたま問選が
なかったということも考えられ、安全の確保が完全とは言えませんでした。−万、HACCPの場合は、全工程を対象に危険なポイントを特定して
徹底管理していきます。いわば、製造工程内で安全を確保していくもので、結果として完成した製品すべての安全が保証されるというわけです。
HACCPは従来の衛生管理の方漬とは発想の違う“新しい食品衛生管理システム”であるといえます。

    

 

   

 

HACCPってなあに?A  〜その変遷と対象業種〜          戻る↑

 

HACCPの考え方は、1960年代のアメリカで生まれました。NASA(アメリカ航空宇宙局)が高い安全性を求められる宇宙食用に開発したのがはじまりです。

アメリカでは、73年にFDA(米国食品医築品庁)が低酸性缶詰のGMP(適正製造基準)として取り入れ、89年にNACMCF(米国食品徹生物基準諮問委員会)
が指針を示してHACCPの原則を定義づけました。その後、いくつかの変遷を経て、93年には食品規格の国際的機関であるCODEX委員会がガイドラインを発表。
これを受けて、世界各国で急速にHACCP導入の動きが本格化しました。現在では食品衛生の国際基準になりつつあります。

以前のページでも述べたように、わが国でも厚生省が食品衛生法を改正(96年)し、HACCPの概念を取り入れた『総合衛生管理製造過程』を制度化。

現在のところ、@乳および乳製品A食肉製品B魚肉練り製品C缶詰・レトルト食品(彰清涼飲料水の5業種が、その対象になっています(999現在)。

今後さらに対象業種が増えていくことは確実で、将来的にはすべての食品・食品関連業種が対最になると考えられています。

96年、厚生省により制度化された『総合衛生管理製造過程』の対象は以下の5業種。将来的にはすべての食品・食品関連業が対象に。

 

@  乳および乳製品

(牛乳、加工乳、アイスクリーム、乳酸飲料など)

A 食肉製品

(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)

B 魚肉練り製品

(魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぽこなど)

C 缶詰・レトルト食品

(八ン八−ク、コロッケなど)

D 清涼飲料水

(コーラ、サイダーなど)

 

今後予定されている食品・食品関連業

●学校給食      ●弁当

●そうざい       ●仕出し業など

(将来的にはあらゆる食品が対象になるものと思われます。)

 

アメリカ
1960年代 NASAが宇宙食用にHACCP手法を開発
1971年 全国食品安全大会でHACCPを発表
1973年 FDAが低酸性缶詰のGMP(適正製造基準)として取り入れ
1989年 NACMCFが指針を示し、HACCPの原則を定義づけ
1993年 CODEX委員会がHACCPのガイドラインを発表
1995年 FDAが魚介類製品にHACCP導入を提案
1996年 米厚農務省が食肉・食鳥肉類にHACCP導入を提案
1997年 魚介類および魚介類製品に対するHACCPシステムを施行
1998年 従業員500人以上の企業に対し、食肉・食鳥肉類に関するHACCPを施行
カナダ 1992年 水産食品にHACCPに基づく※QMPを義務づけ
1996年 農畜産食品にHACCPに基づく※頒FSEPを任意導入
EU 1996年 HACCPの手法による葡生管理を義務づけ
ニュージーランド 1985年 乳製品についてHACCPを義務づけ
  1993年 食肉・水産食品のためのHACCPマニュアルを作成
オーストラリア 1992年 畜水産食品にHACCPに基づく
    ※FPAまたはlSOに基づく※AGAを義務づけ
  1994年 畜場などにlSOとHACCPに基づく※MSGAを導入
  1997年 畜場にHACCPを義務づけ
日本 1995年 PL法施行
  1996年 大阪・堺市でO-157発生
  厚生省が食品衛生浅を改正した
    『総合衛生管理製造過程』がスタート
  1998年 HACCP支援注がスタート

 

※ QMP: Quality Management Programs
※ FPA: Food Processing Accreditation System
※ MSQA: Meat Safty Quality Assurance
※ FSEP: Food Safety Enhancement Programs
※AOA:Approved Quality Assurance

 

HACCP導入のメリットは? 〜時代が求めるHACCPの効果〜

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“HACCPの導入=食品の安全や衛生を確保するこピによって得られるメリットはたくさんあります。まず、品質が安定し、不良品が目に見えて減少します。
これにより生産性が向上して利益が拡大、企業の発展へとつなげることができます。同時に、常に安定した製品を供給することで顧客の信頼度が高まり、企業イメージの向上にも貢献します。さらには、PL法を含めた有効なリスクマネジメント(危機哲理)対策にもなります。また、以上のような好循環のなかで従業員一人ひとりの意識が変わり、大きなモラルアツフにもつながります。わが国では長い間、従業員一人ひとりの経験や技能をベースに品質を保証・管理してきました。しかし、これからは個人の技能にHACCPのような“システム管理のノウ八ウをフラスしていくことが非常に重要になってきます。そうすることによって、低コストで品質の良さも保証できる、本当の意味でのローコストオペレーションが可能になってくるからです。消責者や取引先の食品に対する衛生管理への要求がますます厳しくなるなか、HACCPはこれからの時代に不可欠であるとともに、非常にメリットの大きいシステムであるといえます。

                

 

             

 

HACCP支援法 (食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)

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『HACCP支援法』は、98年5月に厚生省と農水省が合同で漬制化。HACCP導入の促進を目的にした資金・税制面での優遇制度です。『総合衛生管理製造過程』の承認申請とは関係なく、HACCPを導入するすべての食品工場に適用されます。ただ、各工場(事業者)が直接、国に申請の手続きをするのではなく、両者の問に業界団体が指定認定機関として入ります。申請の手順としては、まず、国のガイドラインに基づいて業界団体がそれぞれの基準を提出。国がこれを審査して認定します。認定を受けた業界団体(=指定認定機関)は、貴事業者にこの基準を公表。吉事業者がこれに毒づいてHACCP導入の計画書(=高度化計画)を提出し、今度は業界団体が各事業者を審査して認定します。現在のところ、支援措置の対象は施設や設備の整備など八−ド面に限られています。

                         

 

HACCPと一般的衛生管理事項(PP)  〜求められる設備条件〜

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『一般的衛生管理事項(=pp)』とは、HACCPを効果的に機能させるために前もって準備しておくべき“整備条件”のことです。よって、PPもHACCPのひとつとして考えることができます。PPが充実している現場では重要管理点(CCP)の設定項目は少なくて済み、管理がしやすくなります。PPは設備や器異頬などに関する‘ハード面=GMP(適正製造基準) ”と、これらを使いこなすための作業手順やさまざまな規則を作って実施する“ソフト面=SSOP(衛生標準作業手順)”から成り立っています。とくに衛生的で機能的な設備・器異類は、HACCPシステムの基本となるものです。これらが整備され、適切に使いこなされることによって、効率的で効果的なHACCPシステムの構築が可能になります。PPの設備条件としては、「洗浄性や殺菌性に優れていること」「汚物がたまりにくい構造であること」「メンテナンスがしやすいこと」などが挙げられます。

※PP:Prerequisite Programs

 

 

 

HACCPと物流システム 〜ステンレスコンベアが威力〜

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食品工場向けに開発した「ステンレスコンペヤ」は、PPの整備に大きく貢献しています。まず、高品質のステンレス製でサビを寄せつけないこと。次に、耐水・防水仕様やキャスター脚による簡単移動で、清掃がしやすいこと。さらに、部材がすべて丸パイフで汚物がたまりにくいうえ、抗菌ベルトや抗菌ローラの採用で衛生度が高いこと。また、ベルト類が簡単に取りはずせるシンフルなユニット構造のため、メンテナンスが容易であること。これらHACCPに対応する特長だけでなく、耐久性の良さや低価格・短納期などコストパフォーマンスにも優れています。現在、用途や搬送物に合わせて40機種以上をラインプ。HACCP認定工場はもちろん、HACCP取得への事前対策設備として、さまざまな食品工場でご採用いただいています。

     

 

 

HACCPが必要とされる理由

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食中毒の多発や「食」の国際化などにより、食品の安全性への要求が世界的規模で高まっています。こうしたなか、“食の優れた衛生管理システム”として注目されているのがHACCPです。HACCPとは、「Hazard Analysis Critical ControI Point」の略で“ハセッフ”と発音し、「危害分析・重要管理点」と訳します。その意味は、食品を製造する過程で発生する可能性のある病原菌やウイルスなどの危害を見つけだし(=Hazard Analysis/危害分析)、この危害を防ぐために欠かせないチェックポイントを管理する(=CriticalControIPohlt/重要管理点)というもの。つまり、「製造工程全体の流れの中で重要な管理ポイントを特定し、そこを重点的に管理する一連のシステム」。製造工程内で安全を確保していくために、結果として完成品の安全が保証されるというわけです。HACCPは、抜き取り検査など従来の管理方法とは発想の違う“新しい食品衛生管理システム”であるといえます。食品工場にHACCPを導入することにより、品質や安全性・生産性の向上、従業員一人ひとりのモラルアッフなど、さまざまなメリットが得られます。消費者や取引先の食品に対する衛生管理への要求がますます厳しくなるなか、HACCPの導入によって常に高品質のものを生産しお届けすることは、「品質保証の競争に勝つ」という意味でも大きなポイントとなることでしょう。

         

 

HACCPとPL法

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95年にスタートした共pL法(製造物責任)は、製品の欠陥によつて消責者に損害を与えた場合、企業側が損害賠償の責任を負う法律です。これにより、消費者は損害を訴えやすくなり、企業側はこれまで以上に厳しい安全・衛生管理が求められるようになりました。食品による事故が起こつた場合、その責任は企業としてのPL責任と個人(社員)の責任とに分けられます。企業がきちんとマニュアルを作成し、遵守するよう指導しているにもかかわらず、担当者が守らなかったために起きた事故は、個人が責任を問われることもあります。とはいえ、多くの場合、責任を問われるのは企業の方です。HACCPが普及していくなか、事故を起こす頻度の高い企業や改善措置をとらない企業はますます目立ちやすくなり、企業イメージを損ないかねません。事故を起こさないことが大切なのはもちろんですが、万一、起こしてしまつた場合にも、すみやか対応し、二度と起こさないような措置を行うことが、企業にとっては今後さらに重要な責務となつてくるでしょう。ところで、PL法は食品だけでなく、あらゆる製造物を対象にしています。食品以外の一般的な製造物については、常識的な使い方をしているにもかかわらず、損害が発生した場合に欠陥があると判断されます。これに対し、食品の場合はたとえ常識的な使い方をしていても、その人の、その時の、体質や体調によつて影響を受けることがあります。食物アレルギーなどはその一例といえるでしょう0さらに食品は変質しやすく、流通段階や家庭での保管状態によっても影響される可能性があはす。このため、食品分野に携わる企業は、危害が発生するあらゆる可能性を見つけ出し、これに対して十分な対策を講じておく必要があります。こうしたことから、消費者に損害を与えるような「危害」をなくそうとするシステム=HACCPの導入はPL法の有効な対策になるといえるのです。

※PL:Product Liability

 

HACCPとISO

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lSOとは、lnternational Organization for Standardizationの略で、国際標準化機構のこと。日本を含む約130力国が加盟し、「イソ」とか「アイエスオー」と呼ばれています。環境マネジメントシステムの規格であるlSO4000シリーズや、品質管理および品質保証に関する規格であるlS09000シリーズなどがあります。それぞれ、環境や品質に関する計画の作成や実行、点検、改善などの取り組みについて基準を定めています。認定機関の審査を受け、合格すれば登録される仕組みです。HACCPに関係が深いのは品質管理および品質保証に関する規格のlSO9000シリーズ。最近では、海外との取引条件としてこのlS09000シリーズの審査登録が要求されるケースが増えており、わが国でも今後、多くの企業が導入を進めていくものと思われます。なかでも国際化を進める食品業界においては、lSO9000シリーズはHACCPとともに重要な課題であるといえるでしょう。lSO9000シリーズは、規格の選択と使い方を示すlS09000をはじめ、設計・開発・製造・据付および付帯サービスなど20の要求項目からなるlS09001など、要求項目の内容などによっていくつかのカテゴリーに分類されています。これらlS09000シリーズが製品の“品質保証”を目的としているのに対し、HACCPは、“安全・衛生の確保”を目的にしています。lSO9000シリーズの保証対象は「製造過程」で、完成された製品そのものを保証するものではありません。HACCPの場合は、「製造過程」を管理することで完成品の安全を保証しようとするものです。よって、lSO9000シリーズではカバ−できない製品の安全性をHACCPによってフォローしていくというふうに考えることができます。lS09000シリーズとHACCPには、文書化して管理していく点や工程管理などフロセス面でも多くの共通点があります。また、中心になって推進していくメンバ一だけでなく、すべての従業員が導入の意義を理解し、相互に協力しあうことが大きな成果につながる点でも共通しているといえるでしょう。

 

HACCPが現場で機能するために・・・・・

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HACCPが現場できちんと機能し、期待する成果を挙げるために大切なこと。それは、経営者をはじめ、従業員一人ひとりの衛生管理に関する自覚や意識の変革です。まず経営者自らが、HACCP導入の意義をしっかり認識すること。そのためには、自社における品質のあるべき姿(=品質方針)を明確にしておく必要があります。優れた商品を開発しても、商品の品質そのものに問題があれば、いくらHACCPで管理しても意味がありません。まずは商品を開発する際の品質(=設計品質)を管理できるシステムが確立されていることがHACP導入の前提条件となります。現場においては、担当者それぞれがHACCPの手順をスムーズかつ適切に行えるよう、知識とスキルを十分に磨いておくことが重要です。たとえば、品質事故が発生した場合、応急措置や暫定措置で終わらず、その事故の根本原因を突き止め、再発防止のための改善措置をきろんと行えるか否かが大切になります。

「整理・整頓・清掃・清潔・妖」は“5S”と呼ばれ、品質管理の基本とされています。すべての従業員において、5S活動がきちんとなされることが、HACCPが有効に機能するための大前提であるいえます。また、設備・機器類の予防や保全(=TPM)も5S同様に重要です。始業時や終業時の機器類の点検や定期的なメンテナンスはTPMの基本ともいえるもので、HACCPの重要な機能条件のひとつになります。機械の稼働率はメンテナンスカが徹底されているかどうかにかかっています。異物の混入を排除し、設備・機器類を常に良いコンディションに保っておくことは、生産性を高めるうえで欠かせない重要事項なのです。5Sが人材に関わるソフト面だとすれば、TPMは設備・機器類に関わる八−ド面であるといえます。この両面をともに充実させることによってはじめて、HACCPが現場で有効に機能するのです。

※TPM:Total Productive Maintenanc

 

HACCPプランの作り方

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「HACCPプラン」とは、食品の製造過程で管理すべき事頂について、HACCPの7原則に従って作成する計画のことです。HACCPを運用していくうえで、さまざまな基準やルールづくりが行われますが、これを文書化したものがHACCPプランです。

HACCPプランを作成するにあたって、まず必要となるのが「HACCPチーム」の編成です。HACCPプランの作成をはじめ、中心になってHACCPシステムを推進していきます。

HACCPプランづくりの最初の作業となるのが「製品の説明書づくり」です。これは製品の特性や原材料、賞味期限などを整理したもので、危害分析の基礎データになります。

次に、原材料の受入から出荷にいたるまでの製造工程を全体的・個別的に把握するために、「製造工程一覧図」を作成します。さらに、原材料搬入から製品の出荷にいたる物の流れや、施設内の人の動きを示す「施設の図面」を作成します。また「標準作業手順書」は、さまざまな作業を進めていくうえでの手順書のことで、工程名や使用する機槻・器具、所要時間などを記載します。

ここからいよいよ、実際にHACCPプランを作成していくことになります。具体的には、各工程における危害の原因となる物質の特定の防止措置、厳重に管理する必要のある重要管理点(CCP)とその管理基準、危害が確実に防止されているかどうかを監視するモニタリンクの方法、防止されていなかった場合の改善措置、HACCPが有効に機能しているかどうかの検
証方法、そして最後に、これらの管理内容を記録・管理する方法。一以上の内容を一覧表にして書き込んだものが「HACCPプラン」です。しかし、これは常に絶対に正しいというものではありません。現場の状況に合わせて定期的に見直す必要があります。また、HACCPプランは製造工程管理についての概要を記載したもので、この一覧表だけで菅理できるというわ
けではありません。HACCPは一般的衛生管理事項(PP)との関連においてはじめて有効になるものです。その意味で、PPがいかに整備されているかが、HACCPプランが有効に機能するためのポイントとなります。

●HACCPプラン作成の流れ

                             

 

施設・設備の整備の課題

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HACCPの導入において、施設・設備の整備は重要な課題です。施設や設備類は、ただそれを生産ラインに合わせて配置すればよいというものではないからです。HACCPというのは、あくまでも衛生管理のためのシステムです。よって、施設・設備類も、衛生管理に配慮したカタチで整備・配置されなければなりません。これがHACCPにおける「施設のゾーニンク」と「設備のレイアウト」と呼ばれる課題です。施設のゾーニンクとは、生物学的・物理的危害を防止するため、製造工程内の汚染区域と非汚染区域を明確に区分することです。たとえば、作業者の入口の区分の場合、汚染区と非汚染区の作業者は、それぞれ区分された別の入口より入場するといった具合です。こうしたことから、ゾーニンクのための改修作業が必要になり、費用面や技術面の問題が発生してきます。設備についても、作業性・メンテナンス性に優れ、衛生面に配慮した配置になっているかどうか、各設備が各作業ゾーンに適切に配置されているかどうかど、細かな検討がなされる必要があります。しかし、たとえば区画を本格的な間仕切りにするのではなく簡易型の仕切りにしたり、設備機器に衛生管理に強いステンレスコンペヤを採用したり、人や物の動線を改善するなど、さまざまな工夫によって改修の責用を抑えていくことも可能です。HACCPは、正しく運用していけば初期費用こそかかるものの、結果的には人件費や管理費の減少など大幅なコストタウンにつながるシステムです。HACCPの基本からはずれない範囲で、優先順位の高い施設・設備から段階的に導入していくのもひとつの方法です。

 

食品工場の設備機器における洗浄・殺菌の重要性について

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食品工場では、施設・設備類が衛生管理に配慮したカタチで整備されていなければならないことはすでに述べたとおりです。しかし、いくら衛生的な整備がなされていても、その施設や設備自体が不衛生な状態では意味がありません。使用される施設・設備・器具頬などのち、一つでも不衛生なものがあれば、それだけで危害発生の原因となってしまうからです。そこで重要になってくるのが、設備や機器類の洗浄や殺菌です。微生物や異物による二次汚染を防止し、HACCPをスムーズに機能させていくうえで、洗津と殺菌はすべての基本ともいえる重要な役割を担います。これを適切かつ能率的に行うためには、その手順を文書化した「洗浄・殺菌マニュアル」を作成し、従業員の誰もが同じ手順と方法で洗浄・殺菌できるようにしておくことが大切です。ところで、これら洗浄・殺菌の作業は、通常、作業開始前と終了後に毎日行われるものです。よって、「洗浄しやすく、殺菌性にも優れた設備類」は、高い清潔性を保てるだけでなく、作業にかかる労力や時間をも短縮し、コストの削減にもつながります。

※洗浄方法は食品の種類や作業内容などにより異なります。以下は基本的流れを示しています。

 

HACCP導入によるさまざまな効果

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「食」の新しい衛生管理システムとして注目され、世界各国でも急速に普及が進んでいるHACCP。その背景には、導入によって得られるさまざまな効果があります。まず、危害の発生を未然に防止することによって品質力が安定します。不良品が発生しやすい従来の場合、その分が無駄になるだけでなく、回収や損害賠償に費用がかさむ危険性が常につきまとっていました。しかし、HACCPを導入することによって不良品は大幅に減少。これまで「損失」に勘定されていた不良品が良品”として「売上」に転じることで生産力はアップし、利益率も向上します。顧客の側も危害のない製品を安心して購入できるため、企業への信頼度やイメージが高まります。万一、顧客からクレームが寄せられた場合でも、記録に基づいた調査が可能で、自社に問題があったかどうかを科学的に立証することもできます(リスク・マネジメント効果)。また、危害を分析し、その防止措置を設定することで安全に対するコストが明確になり、予算も立てやすくなります。さらに、HACCPは組織全員が一体となって取り組んでいくシステムであるため、自社の製品とその安全性について、従業員一人ひとりの意識が高まり、モラルのアップにもつながります。−このように、“製品の安全性”を確保することをベースに、生産力・商品力・企業力など、さまざまな相乗効果が得られるHACCP。設備投資や人材の育成など初期費用こそかかるものの、正しく運用していけば、結果的には幅なコストタウンにつながるコストパフォーマンスに優れたシステムなのです。

 

HACCPからHACCPへ

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さて、ここまで食の衛生管理システムであるHACCPについて、その必要性や期待される効果などを見てきました。しかし、HACCPとはあくまでも衛生・安全に関する「予防」のためのシステムです。もちろん、現時点ではHACCPの認定がビジネスを有利に運んでくれることは間違いありませんが、やがてHACCP導入が常識になると「安全な食品は当たり前」という状況になってきます。そこからさらに顧客を満足させていくためには、やはり「安全でおいしい食品」の提供が必要です。そこで登場するのするのが「※ACCP(パセップ)」という考え方です。これ「衛生面に加え、食品のおいしさもCCPにおいて管理する方法」で、オーストラリアの食肉研究所が提唱しています。食品関連企業にとって「おいしさの追求」は当然のことで、PACCPの考え方は、いわばサパイバル・マネジメントとして位置づけられます。現在はオーストラリアで実施されており、いずれPACCP時代の到来が予想されています。21世紀に向けて、さらに企業間の競争の激化予想される食品業界。「安全でおいしい食品」の提供一つまり、HACCPからPACCPへの進展が、企業にとっては今後の大きなポイントとなってくることでしょう。

※PACCP:Palatability Assurance at Critical Control Points

 

HACCP  Q&A HACCPのさまざまな疑問にお答えします。      戻る↑

『総合衛生管理製造過程』は食品衛生法の改正にともなって導入された厚生省の承認制度です。これはHACCPの概念に基づいてつくられています。『総合衛生管理製造遇程』が工場内における原料の入荷から製品の出荷までを対象にしているのに対し、HACCPは“農場から食卓まで’つまり原材料から消費までの生産・流通を含むすべての段隋を管理の対象にした衛生管理システムです。

lSO9000シリーズは、lSO(国際標準化機構)が制定した製品の‘‘品質保証”に関する国際規格です。これに対し、HACCPは“安全・衛生の確保”を目的にしています。lSO9000シリーズの保証対象は「製造過程」で、完成された製品そのものを保証するものではありません。HACCPの場合は、「製造過程」を管理することで、完成品の安全性を保証しようとするものです。lSO9000シリーズではカバーできない製品の安全性をHACCPによってフォローするという点から、両者は相関関係にあるとも言えます。

95年にスタートした※PL(製造物責任)法は、製品の欠陥によって消費者に損害を与えた場合、企業側が損害賠償の責任を担う法律です。一方のHACCPは、消責者に損害を与えるような「危害」をなくそうとするシステムです。したがって、HACCPの導入は有効なPL活対策にもなります。                ※PL:Product Liability

HACCPは7つの原則(手順)から成り立っています。大きくは次のような流れで進められ、食品の安全性を確保します。●食品を製造・加工する過程で、発生する可能性のある危害を予測・分析する●その危害を防止するための管理点と防止方法を決める●確実に防止されているかどうかを絶えず監視する●防止されていない場合にはすみやかに適切な措置を講じる●これら管理の内容を記録・保管する

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「HACCPの導入には費用がかかるんじゃないの?」----こうした心配から,導入をためらう経営者の方も多いと思います。しかし、HACCPの導入にともなう“費用対効果”は、大きく次のような流れで見ていくことができます。●ステツフ1=・・・・PPの整備により、ある程度のイニシャルコストがかかります。●ステツフ2‥・・PPの充実にともない、重要管理点(CCP)の項目は少なくて済みます。これにより省人化を実現し、人件費や管理費などのコストタウンにつながります。●ステツフ3・・‥品質の安定による生産性向上で利益が拡大。顧客の信頼度が高まり、企業イメージもアツプします。つまり,HACCPを正しく運用していけば,初期費用こそかかるものの、結果的には大幅なコストタウンにつながります。一度にすべての態勢を整えるのが難しい場合には、可能な範囲で部分的に導入していくのもひとつの方法です。優先順位の高いものから段階的に取り組んでいくなど、企業それぞれの事情に合わせた導入を考えてみてはいかがでしょうか。

食品に発生する危害には、@生物学的危害A化学的危害A化学的危害B物理的危害の3種類があります。@は細菌やウイルスなどで、食中毒の原因となります。Aは主に工場内で使用する洗剤や殺菌剤などの化学物質、Bは同じく金属片やガラスなど異物の混入です。危害が最も多いのは@における微生物危害で、その防止には設備や器具頬の洗浄・殺菌の徹底が重要になります。

経営者をはじめ、従業員一人ひとりの衛生管理に対する自覚や意識の変革が非常に大切になります。HACCPを中心になって推進していく「HACCPチーム」のメンバーのみならず、すべての従業員がHACCP導入の意義を理解し、相互に協力しあうことが、大きな成果につながります。

 

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【HACCPの7原則】

HACCPは7つの原則(手順)から成り立っている。

@危害分析A重要管理点の設定B管理基準の設定Cモニタリング方法の設定D改善措置の設定E検証方法の設定F記録の維持・管理方法の設定

【危害(Hazard)】

食品の原材料や製造・加工の過程で発生する可能性のある要因。生物学的・化学的・物理的危害の3種類がある。

【危害分析(Hazard Analysis)】

上記の危害について調査・分析し、食品の安全性を保つうえで、どのような危害が重要であるかを特定すること。

【重要管理点(Critical ControI Point)】

食品の安全性を保つうえで重要となる管理ポイント。このポイントで危害を防止する。

【管理基準(critical Limit)】

重要管理点において、危害の発生を防止するための基準のこと。誰にでもわかるように、pH、温度、時間、圧力などのパラメータを用いる。許容隈界基準とも訳される。

【モニタリング(Monitoring)】

重要管理点において、危害が確実に防止されているかどうかを監視すること。

【改善措置(Corrective Action)】

重要管理点におけるモニタリングの結果、管理基準を満たしていない場合にとられる措置のこと。

【検証(verification)】

HACCPがうまく機能しているかどうかを定期的に確認すること。

【HACCPプラン】

HACCPの原則に基づいて作られた文書のこと。管理内容を整理した総括表。

【HACCP支援法】

HACCP導入の促進を目的とした金融・税制上の優遇措置法。厚生省と農水省の合同で98年5月に法制化。

指定機関の認定を受けると施設や設備に対して優遇措置が得られる。

【P.P(Prerequisite ProgramS)】

一般的衡生管理事項のこと。HACCP導入にあたって、あらかじめ整備しておくべき前提条件。

設備・器具類などハード面(適正製造基準=GMP/Good Manufacturing Practice)と、さまざまな作業規則を作って実施するソフト面(衛生標準作業手順=SSOP/Sanitation Standard Operating Procedure)がある。

【GMP(Good Manufacturing Practice)】

一般的衝生管理事項のひとつで、適正製造基準の略。施設・設備や器具頬など、衝生的な食品を製造するための基盤となる管理事項。

【SSOP(Sanitation Standard Operating Procedure)】

一般的衝生管理事項のひとつで、衛生標準作業手順の略。GMPの管理事項を使いこなすための具体的な手順を文書化したもの。

 

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これにておわりです。HACCPを理解して頂ければさいわいです。

尚、未構成の為、不備があるかもしれませんがご了承下さい。

2000年11月16日